
先日の慶應大での昼間の講演会の後は、
銀座で夜の懇親会。
このビストロは
シェフは天才なのかと勘違いするくらいに美味しい。
で、
質疑応答の時間が短かったので、
後からメールでいただいた質問集ですけど、
そのいくつかを私のコメントとともに紹介します。
質問1:
有機ELを研究していく上で、実現に向けてマイナスの意見もあったとおっしゃっていましたが、当時に有機ELの研究を続けれたモチベーションは何ですか。
答え1:
有機物に電気を流して光らせる。この実験、研究がただただ面白くて、続けました。自分の研究を面白いと思う心、あるいは、心から面白いと思える研究をすること、これが重要だと思います。

質問2:
発明のために必要なこととして、視点を変えることと講義の中でありましたが、いつも研究中、どこが辞め時で、どこが視点の変え時なのかがわからず、どうでも良いところで右往左往してしまいます。境目を見極める方法はありますか?やはり知識をよりたくさんつけるに限りますか?
答え2:
辞め時を知るには、「なぜダメなのか」その理由がわかるまで、徹底的にやるしかありません。そして、その理由がわかれば、次に何かを始めるときの参考にもなり、成功の確率が高まります。失敗からも学ぶことが重要です。中途半端で辞めると、何も得られないまま、成長もできないです。

質問3:
日本では米国とは異なり、博士課程を取得していてもあまり優遇されない傾向があると思います。このような現状が、日本が世界を代表するようなメーカーを生み出していけなかった理由にあたるのでしょうか。
答え3:
それは関係ありません。昭和の時代はJapan as No.1と言われたくらい、日本のメーカーが世界を席巻しました。むしろそのような昭和の大企業に、いまだに国も国民も頼りすぎて、ベンチャーの育成に力を注がなかったから、日本は没落しました。アメリカでは、GEやコダックなど、かつての東海岸の大企業は衰退したものの、西海岸のGAFAに代表される企業が生まれ、大きくなり国を引っ張ってます。日本に足らないのは、若者のベンチャーマインドと、ベンチャーを育てるインフラですね。

質問4:
講義内で神様がいてみんなに平等にチャンスを与えられているけど差があるのはチャンスをつかめていないだけという話がありましたが,チャンスかどうかを見極め,またそのチャンスをしっかりつかみ取るには何が重要で,どういうことを心掛けていることが必要なのかということについて先生なりの考えを教えてください。
答え4:
これは簡単です。日頃から目を皿のように開き、与えられた場所で、与えられた仕事や勉強を120%精一杯やることです。すると、人が見過ごす些細なことでも、それに気づくことができて、成功に近づけます。120%の努力、これが大事です。

質問5:
好奇心を失わないために、なにかエネルギーを保つための心がけがあれば教えて頂きたいです。
答え5:
興味のあることは、躊躇せずやること。それを続けることだと思います。脳科学のことは分かりませんが、面白そうと思ったこと、興味のわいたことなどに対して、めんどくさいとか、時間がないとか、何らかの理由で行動に移さないと、新しいことに対して興味すら湧かなくなってくるんではないでしょうか。ですから、分野や業種に関係なく、面白そうと思ったことは首を突っ込むこと。穴があったら覗くことをおすすめします。
質問6:
先生はたびたび言い切る表現で自分の意見をおっしゃっていました。これは自分の研究を信じて続けるというところにもつながると思うのですが、そのように自分の意見や考えに自信を持てるようになるにはどうしたらいいのでしょうか。
答え6:
成功体験を積むことです。最初は小さな成功でいいです。例えば、中学校のクラスで成績が一番になるとか。次に、より大きな目標にチャレンジするようになり、そのような成功を体験することで、自分自身に自信を持てるようになります。
質問7:
博士課程から海外に行かれたとのことですが、日本の大学との違いについて何か顕著な点があればお伺いしたいです。
答え7:
アメリカの博士課程は日本よりもずっと厳しいです。博士取得まで何年かかるかなんて、全て自己責任です。そういう意味で、アメリカで博士号を取得したことは大きな自信になりました。
質問8:
発明のために重要な要素として、視点を変えるということをおっしゃっていましたが、視点を変える手段の一つに全く関係のない分野の知見を取り入れるということが考えられると思います。そこで、城戸さんはこれまで他分野の知見を取り入れて成功した例はありますでしょうか。また、経験的に様々な分野に応用可能である分野がありましたらお教え願いたいです。
答え8:
有機ELという半導体デバイスの開発に、化学的アプローチをしたのが成功につながりました。そういう意味では、有機ELに限らず、部外者というのは、その強みを発揮すればその分野の専門家よりもブレークスルーを生み出しやすいでしょうね。中村修二先生のGaNの青色LEDなんてまさしく無謀なテーマ選びでしたから。
質問9:
突出した名誉を持っていたわけではない際の段階でも著名な方々の側で学ぶことを許されたことには何か性格や行いに秘訣があるのか。特に大事にしていた点等があればお聞きしたい。
答え9:
機会を逃さないこと。遠慮しないこと。
人生で著名な方々と出会う機会というのは、それほど多くはありません。そういう機会には、遠慮せず近づき、挨拶し、自分を覚えてもらうことです。例えば、先日の大学での講演会でも、講演後に私と名刺交換すれば、単なる「講演を聴いたことある人」じゃなく、「知り合い」になれますよね。
ということで、
参考になりましたでしょうか。
聴衆の中からいつの日にか日本を代表する科学者や実業家が生まれてくることを祈っております。
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