感謝の会
日経新聞より:
有機ELテレビ暗雲 パナソニック、量産先送り
液晶に続くテレビの本命といわれた有機ELテレビが転機を迎えている。パナソニックは有機ELディスプレーの量産を2015年度から16年度以降に先送りする。ソニーは開発を凍結し、韓国サムスン電子も投資凍結を決めた。量産コスト削減が難航したことに加えて、高精細な「4K」液晶テレビが値下がりしており、当面は消費者に受け入れられる商品の投入が難しいと判断したためだ。
パナソニックは印刷技術を応用して有機EL材料をパネルに塗布する「印刷方式」と呼ぶ製造技術を開発している。ソニーと12年に有機ELパネルの共同開発を始めたが、13年末に関係を解消。その後は独自で医療向けなどの商品化を目指し、15年度をメドに量産する計画だった。
しかし、製造コストの削減が難航し、現時点では55型で価格が100万円以上になる見込み。一方、画面がきれいとされる4K液晶テレビは家電量販店で30万~40万円で購入できる。価格差に見合う付加価値を消費者に訴えるのが難しいとして、16年度以降に延期する。
ソニーは有機ELテレビの商品化に向けた開発を当面凍結する。07年に世界で初めて商品化(11型)したが、今後は放送局や医療向けの業務用に特化。10年連続で赤字が続いたテレビ事業のコスト削減を進める一方で、世界市場で2割のシェアを持つ4K液晶テレビの品ぞろえを充実させる。
米NPDディスプレイサーチによると、13年の有機ELテレビの世界出荷台数はわずか4000台。12年春時点の予測(25万台)の1.6%程度にとどまった。鳥居寿一バイスプレジデントは「液晶テレビの高画質化と価格下落が進み、有機ELテレビの利点がなくなった」と分析する。
サムスンは14年中にも予定していたテレビ用有機ELパネルの生産ラインの新設を中止し、新製品の投入を原則見合わせる。55型の価格が発売当初、約150万円に達したという問題に加え、「焼き付き」と呼ぶ画面の部分的な劣化も発生していたようだ。幹部は「価格的にも技術的にももう少し完璧を期す必要がある」と漏らす。
有機ELテレビで北米などで最も売れている韓国LG電子の55型の価格は約6000ドル(約61万円)。液晶の55型のハイビジョン機種に比べ7倍以上、4K液晶の55型の機種と比べても2倍の水準だ。
有機ELは、現在の製造技術では大型化が難しく、テレビ用パネルにすると歩留まりが悪い。一方、4Kテレビ用パネルはフルハイビジョン用に近い価格まで値下がりした。有機ELパネルの製造費は液晶パネルの3倍以上だ。
ディスプレイサーチは12年時点で16年に1000万台の世界出荷を見込んでいたが、最新では170万台まで下方修正した。「液晶の次は有機EL」という見通しが崩れつつある中で、各社は新しい方向を探り始めた。
ソニーは平井一夫社長の直轄組織を設置し、家庭の壁やテーブルなどに自由に映像を映し出すコンセプト商品群「ライフスペースUX」を開発。パナソニックの津賀一宏社長は「生活の場で暮らしに役立ち、インテリアと一体となった商品づくりを目指す」と話す。
サムスンは画面が湾曲することで視聴者の没入感を高める4Kの新製品を披露し、中国勢も開発を進める。水面下で開発を進めているとされる米アップルも巻き込み、消費者に「買いたい」と思わせる商品の開発競争が激しくなりそうだ。
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ということで、ソニーに続きパナソニックも大型有機ELの量産を先送り。
っていうか、もともとパナソニックの塗布型有機ELの性能は量産レベルにはなくて、量産するにもできないんで、先送りというのはちょっと表現が間違ってると思う。
まあね、まだ量産レベルにはありませんので先送りします、っていうよりも、他社と同じく4K液晶に注力します、という方が、株主に受け入れられるしね。
それにしても、国内の大手テレビメーカーは、この先、一体何を作って商売するんでしょうね。
戦略なきビジネスに未来はありません。
で、
再度、大型有機ELテレビ量産の課題を挙げると、
・大型TFT基板の量産
・大型基板への有機ELの成膜
の二点です。
これができれば、部材の点数が少ない有機ELは液晶よりも製造コストが確実に下がります。
決して発光材料の値段ではありませんので、誤解なきよう。
で、TFTに関しては、LTPS-TFTをいかにに大型化するかがポイントで、既存のエキシマーレーザーでは困難だし、IGZOも安定性、歩留まりに問題あり。
だから、新規なa-Siのアニーリング法などを開発、実用化する必要があります。
有機ELに関しては白色ベタ蒸着、マスクなし、で歩留まり高く量産できます。
それには、ルミオテックの白色技術が使えます。
これまで、
サムスンはマスク蒸着しようとして失敗、
ソニーはNEDOプロジェクトでレーザー転写法を開発しようとしたけど失敗、
パナソニックは時期尚早の塗布型インクジェットで失敗、
で、
LGが白色方式で一歩リード。
すなわち、
戦略ミスですね。
正しい戦略、戦術をもって事業化を進めれば3年以内に55インチなら確実に量産でき、液晶に勝てるでしょう。
そんなやる気のある会社があるならば、社外事業部長として責任を持って事業化しますので、ご連絡お待ちしてます。
ソニー、有機ELテレビの開発凍結 4Kに経営資源集中
2014/5/13 2:00
ソニーは次世代の高画質テレビとして有望視されてきた有機ELテレビの商品化に向けた開発を当面凍結する。2013年末にパナソニックとの共同開発を解消、独自で家庭向けの開発を進めていたが、当面需要が本格的に立ち上がらないと判断した。世界1位のシェアを持つ高精細の4K液晶テレビに経営資源を集中する。人件費削減なども進めテレビ事業の収益立て直しを急ぐ。
有機ELはホタルのように自発光する有機材料を使うことで鮮明でスポーツなど動きが多い映像でもちらつかない特徴を持つ。パナソニックとの共同開発を解消、今年から独自に開発を進めてきたが、家庭向けの有機ELテレビでは韓国のLG電子やサムスン電子に先行されていた。有機ELを開発してきた厚木テクノロジーセンター(神奈川県厚木市)などの人員は4K関連製品などの開発に振り向ける。
4Kテレビでは13年の出荷金額で2割強のシェアを握る。ブランド力を発揮できると判断、4Kテレビに集中する。今夏に前期の2倍以上となる8機種の4Kテレビを発売、今期の販売台数を前期の4倍に引き上げる計画。薄型テレビの大型機種のうち4Kの比率を前期の1~2割から4~5割まで高める。4Kテレビは通常の液晶テレビよりも単価が10万円以上高いため、収益改善につながる見通し。
コスト削減も加速する。7月1日付でテレビ事業を分社して収益管理を徹底。テレビを中心とする家電販売の人件費を2割以上削減する。販売数量を追う戦略から収益重視に切り替え、15年3月期にはテレビ事業で11年ぶりの黒字転換を実現する体制を整える。
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あらあら、という感じ。
サムスンが凍結でソニーも凍結。
だめですね、大企業というのは。
なぜ、大型有機ELテレビが実用化困難かというと、単純な話しで、
・有機EL用のTFT基板の製造
・有機ELの成膜
の二点です。
決して材料がないわけでも、材料の値段が高いわけでもありません。
単にプロセスの問題です。
たとえば、大型TFT基板も従来のLTPSではプロセス上大型化は困難、
IGZOでは不安定。
有機ELも、従来のマスク蒸着は大型化は困難、
インクジェットは塗布型材料が性能がいまいち。
ということで、これらの問題をいかに解決するかが重要なのであって、
「当面需要が本格的に立ち上がらない」のを理由に開発を凍結って、戦略のあるテレビメーカーであればあり得ない話し。
4K液晶で儲かっている間に、次世代有機ELテレビを開発し、他社より先に市場に投入するのが王道であって、サムスンのような競合他社に追随するなんてもってのほかと思うんですけど。
実は、うちでは装置メーカーと新規な大型基板向けLTPS製造方法を開発中だし、材料に関してもとっくの昔に内部量子効率100%を実現し、今は理論上限を超える駆動電圧の低電圧化にも成功してるし、白色有機ELの量産はルミオテックで実証済みだし、
すなわち、 大型有機ELディスプレイの量産技術は山形にあるわけです。
そういう業界の最新情報がサムスンやソニーのトップがご存知ないのは、やる気以外に情報収集力にも問題があるのかもしれない。
まあ、極めて近い将来に大型有機ELテレビはサムスン、ソニー、以外の会社から本格的に市場に投入されますよ。
お楽しみに。
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