« さよなら、山形 〜その1〜 | トップページ | でかした、鈴木! »

2009年12月 6日 (日)

さよなら、山形 〜その2〜

 
 
「有機エレクトロニクスバレー構想とは」
  
約8年前、山形大学工学部で経済産業省「高効率有機デバイス」プロジェクトが始まった。
これは、5年間で50億円が投じられた有機エレクトロニクスに関する国家プロジェクトで、山形大、千葉大、筑波産総研を集中研として、山形では大型有機ELの開発のテーマで企業メンバーが集結した。
 
有機ELの高効率化、長寿命化、大型化など、スタート時には不可能とも思える高い数値目標をかかげ研究開発をスタートした。
参加メンバー企業としては唯一東北パイオニアが山形県内企業で、他の企業は首都圏や関西の企業ばかり。また、当時の城戸研究室の共同研究企業も山形県外企業ばかり。
なぜなら、大学で研究している最先端技術(川上)と山形県内の企業が要求する実用化技術(川下)とは直接接点がないからである。
 
 
しばらくすると、山形大学工学部で経済産業省の国家プロジェクトが実施されると知った山形県庁から職員の方が来られ、ぜひとも開発した技術を県内企業に移転して県内企業を活性化して欲しい、と申し出があった。
 
しかし、プロジェクトリーダーの管理人が一言。
このプロジェクトは国家プロジェクトであり、山形県の地域活性化ために行うのではありません。
もし、有機ELの技術で県内企業を活性化されたいのなら、県が自腹を切って研究所でも建てて、実用化研究をされるのであれば、喜んでお手伝いします、と。
  
すると、県庁から5年で20億という予算がまず提案された。
 
しかし、
それでは研究は加速できますが、「バレー」にはなりません。
私は研究費が欲しいのではないのです。
やるからには、山形に有機エレクトロニクス産業が集積するシリコンバレーのような地域にしたいのです、とお断りした。
 
肝が据わっていたのが、当時の高橋知事と野村商工労働観光部長。
結局は、7年間で43億の予算をつけられ、有機エレクトロニクス研究所が設立された。
当時のプランは、20年構想。
第一フェーズ7年間、第二フェーズ5年間、第三フェーズ5年間。
実際には17年構想だけどね。
  
もちろん、フェーズが進む時にはもちろん厳正なる評価をして、成功していれば続ける、成果がでてなければやめる。
単純な話であり、これは当時の関係者間で共有していた認識であり、有機エレクトロニクス研究所のホームページの所長の挨拶中でも明確に述べている。
    
 
・・・・・
 
所長メッセージ
 
 
有機エレクトロニクス研究所へようこそ。所長の城戸です。有機ELは、すでに携帯電話の表示部などに使用され、有機半導体技術の代表格として知られていますが、他にもトランジスタや太陽電池、メモリーなど、多くの有機デバイスが研究されています。大面積化が容易で、高性能、低コスト、などシリコンに代表される無機半導体とは、まったく異なる技術を提供するのが有機デバイスです。
  
山形県では、城戸の提案により今後大きな規模になると期待される有機半導体産業の集積を目指して、有機エレクトロニクスバレー構想を打ち上げ、中核研究開発拠点として平成15年に有機エレクトロニクス研究所を設立しました。
 
山形大学工学部と連携しながら、バレー形成に向けて、研究開発と産業の集積をフェーズ2,3と段階的に進める構想を提案しています。
 
最初の7年間のフェーズ1では、有機ELパネルの実用化技術の開発に主に取り組み、有機白色照明の実現を目指します。次の5年間、フェーズ2では、有機EL白色パネルの普及とともに他の有機デバイスの実用化技術の開発を推進し、企業誘致、ベンチャーの創出、と産業を集積し、さらにフェーズ3での5年間で、他の有機デバイスの実用化も実現し、山形を有機半導体デバイスの研究開発拠点だけではなく産業の集積地へと導きます。フェーズ3終了時には、100社の有機半導体関連企業を集積したいと思います。有機の山形をよろしく。
  
・・・・・
 
 
だいたい、
カリフォルニアのシリコンバレーでさえ産業集積に何年かかったか、よく考えていただきたい。
平成元年から有機ELの研究を始めて、ここまでくるのに何年かかっているか、よく考えていただきたい。
山形に有機エレクトロニクス産業を集積するのに、何年かかるか冷静に考えてみて欲しい。    
  
しかも、この構想は「有機ELバレー構想」ではなく、「有機エレクトロニクスバレー構想」であり、単に有機EL関連会社を1社誘致すればよい、なんてちっぽけな目標ではない。
有機EL、有機太陽電池、有機トランジスタなどなど、有機半導体技術、有機エレクトロニクスというこの国にとっても新しい産業の米をここ山形に集積しようというものである。
 
 
しかし、悲しいかな山形県では知事が二度交代し、商工労働観光部長、工業振興課長が何度も交代し、バレー構想立ち上げ時に熱かった人たちはいなくなった。
 
 
そして今回の決定だから、ただただ「残念」と思うのである。
たぶん、滋賀県知事なら、「もったいない」とおっしゃるだろう。
   
 
   
参考まで: 
山形県庁 〒990-8570 山形市松波二丁目8-1 
電話:023-630-2211(代表)
総務部秘書広報課広報室 電子メール:t57W16uF@pref.yamagata.jp  
   
  
 
 
お疲れ様のクリックをよろしく↓
           人気ブログランキングへ
 
 
 

« さよなら、山形 〜その1〜 | トップページ | でかした、鈴木! »