SID速報:その2
きょう、現地時間の22日は午前中から午後まで研究発表を聞いた。
材料関係の発表では、着実に有機ELの効率があがり、寿命が伸びるのが報告されたけど、材料メーカーの発表には分子構造が一切出ず、コードネームで語られるので聞いててフラストレーションがたまった。
タンデム型の有機ELのセッションがあったけど、この素子構造は元アイメス社の松本敏男さんといっしょに開発した技術で国内特許も登録されてるんだけど、それが学会の一つのセッションにまでなってることは、研究者冥利につきる。
ねえ、松本さん。
ということで、
研究発表の内容はここでは触れずに、展示会の様子をきのうに引き続き紹介したい。
まずは、デュポンから。
ここは、かつては住友化学と同じくパイ共役高分子の材料を開発してたけど、数年前から塗布型低分子材料に宗旨替えし、いまでは塗布型リン光材料および素子の開発を行っている。
効率や寿命が低分子蒸着系にせまる勢いで、それは、発光材料を塗布で成膜し、その上から電子輸送層などを真空蒸着で成膜するハイブリッドな構造になってるからだろう。
これが、純粋な高分子系と違うところで、効率と寿命が伸びてる理由だ。
デモとしては、発光層を大日本スクリーンのノズルジェットでRGB三原色を塗り分けたフルカラーディスプレイを出展していた。
出来栄えはなかなかのもので、輝度も十分、見た目は実用レベルに達していると見た。
感心した一品。
どうする純粋高分子の住友化学。
(写真)発光層を塗って作ったディスプレイ。
一方、純粋蒸着型では、コダックやLGなど量産会社のパネル展示があった。
コダックでは、得意技のムラ補償回路の実演や、タンデム型白色とカラーフィルターを夢見合わせたディスプレイのデモなど、地味ながら実力派らしい展示内容だ。
なぜ、ソニーは白色カラーフィルターを使わないのだと日本人の説明員と意気投合してしまった。
RGBWだと効率も問題ないし、色再現性もNTSC比で100%以上を達成しているのにね。
(写真)ご覧の通り、きれいです。
(写真)うわさのムラ補償。
(写真)LGのパネルを使ったワンセグテレビも。
LGは、製品の展示はなく、開発中の次世代型パネルの展示をしていて、たとえばガラス基板二枚にそれぞれTFT回路と有機ELを成膜し、それらを張り合せてディスプレイに組んだデュアルプレートOLEDをデモしていた。
おもしろいけど、アイデア倒れと思う。
(写真)変ったパネル。
(写真)その説明。
ステンレスホイルを用いたフレキシブルディスプレイは、有機ELの方向性を示しており、これはなかなかいい線を突いている。
(写真)液晶には不可能な、超薄型ペラペラテレビ。
(写真)説明です。
この会社は技術力があるので、方向性と投資のタイミングさえ間違えなければサムスンに勝てる可能性があるだろう。
ということで、
展示会の続きは、また明日。
夕食は、ロチェスター大学のChing Tang教授、UCLAのYang Yang教授とその家族とJapanese Restaurantに行った。
ホテル周辺のダウンタウンエリアには、商店やレストランが少なくて、とりあえずいちばんよさそうな店を選んだ。
焼鳥や天ぷら、カリフォルニアロールや握り寿司を注文し、有機ELや有機太陽電池の話、アメリカの大学のことで盛り上がった。
Tang教授はイーストマンコダック社から大学に2年ほど前に移って、これまで文化の違いにいろいろと戸惑いがあったようだ。
それと、UCLAのようなお金のある大学をうらやましがっておられた。
まあ、管理人にしても地方大学にいるので、東大のような国の研究費の半分がくるような大学は、ある意味うらやましくもあるけど、雑用が少なくて自分のペースで研究を進められる山形大学は悪くないと思っている。
事務も「協力的」だしねえ。
たぶんTang教授は、地方大学の良さにまだ気がついていないのだろう。
このレストランでも、どこかで見たことがある日本人がはいってきたなあと思ったら、長野県の某社の人達だった。
肝心の味は日本人にはso soかな。
(写真)デザートの「もちアイス」。
Takami
811 Wilshire Blv., tel 213-236-9600
ご支援のポチッ↓
人気blogランキングへ