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2008年5月 8日 (木)

Big Move

  
  
ジョージアテックでの話がつづく。
 
きょうは、丸一日、COPEのメンバーのオフィスを回って個別にディスカッションをした。
アメリカの大学や企業を訪ねるとこういう予定を組まれるんだけど、友達を増やすには格好の機会でもある。
 
個別のディスかションで明らかになったのは、アメリカの企業は実際は「ケチ」で、大学には大金を投じないとのことだった。企業は、大学発ベンチャーがモノになりそうな時に買収あるいは投資をするけど、大学研究室に長期的テーマで、共同研究はしない。
 
Solvay社はもともとベルギーの会社なので、そのへんのメンタリティーが違うんだろう。
 
それから、建物に人の名前がついてるケースがキャンパス内にとても多くて、訪ねたところ5〜10億円寄付したら名前を付けてくれるとのこと。
個人にボランティア精神が旺盛なのは間違いなかった。
 
 
ここの中心人物はJean-Luc Bredas教授で、もともとはベルギーの大学で教鞭をとっておられて、10年ほど前にアリゾナ大学に移られた。
そして、5年前にジョージアテックに移動されたのだ。
 
実は、この時に教授4名と主任研究員、ポスドクや学生の合計40名がゴソッと移籍したのだった。教員の家族を含めると80名の大移動(Big Move)とか。
すなわち、ジョージアテックが有機半導体の拠点を作るべく、アリゾナ大から主要メンバーを研究室ごと引き抜いたのだ。
 
このようなBig Moveはアメリカではよく見られることで、大学が拠点形成の為に予算を組んで人を集める。
だから、目当ての教授と待遇面で交渉し、現状よりもいい条件を提示することが必要不可欠なのだ。
 
 
 
それに対して、日本の場合は志の低い教授たちに限って旧帝大指向なので、東大や京大から声がかかるとそんな地方大の教授は待遇関係なしに喜んで移動する。
アメリカには優秀な大学が各州にあるので、いわゆる東海岸のアイビーリーグに人気が集中するなんてことがない。
 
だから、ジョージア州のアトランタと言う地方都市でも、ジョージアテックのような優秀な大学は十分に経営は成り立つし、実際に研究環境もスバラシイ。
州外からの学生が6割占めるらしい。
 
日本の場合は、悲しいかな文科省は東大を中心とした旧帝大に研究費を集中するので、アメリカの州立大学に対応する山形大のような地方大学はどこも研究環境面において旧帝大に負けるし、ネームバリューでも負けるので、教員の流れは一部の例外を除いて常に地方大→旧帝大である。
 
だから、教員は都市部にあつまり、地方大学のレベルは低下しつづけ、産業も都市部に集中し、若者も都市部に移動して、地方は過疎化する。
この構図を作っているのが文科省のお役人で、役人さん達は縦割り社会の中、自分の担当しか目に入らない。
 
トップダウンでしか動かない役所のこと、結局は大臣か事務次官が言い出さないと何も変らないんだけど、前文部事務次官の結城さんがうちの学長なんでなんとかして欲しいと思うんだけど、結局は結城さんが事務次官の時に何も変えられなかったので、今の事務次官にも期待できない。
 
 
いずれにしろ、日本と言う国は人も国も明治時代を頂点としてすべてが劣化しているような気がするんだけど、気のせいだろうか。
 
 
 
明日もつづく。
 
 
 
 
 
 
 
 
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