出張旅費
ボストンのマリオットホテルを早朝6時半にタクシーで出発して、自宅には翌日(きょうだけど)の夜の10時前に到着した。日付変更線を越えたので、日付が変っているし時差があるので、実質何時間かかったのか計算しないとわからない。
とにかく、地球の裏側から長い時間をかけて皆無事に帰って来れてホッとした。
今回は行き先がアメリカなので、行きも帰りも便利なユナイテッドだ。
できるだけ、疲れを残さないように「40才過ぎたらビジネスクラス」と昔から決めていて、今回もそれを実行した。
疲れている時、ゆっくり休みたい時は新幹線もグリーン車に乗るのだ。
と、こう書くと、一般読者の方々は、大学教授というのは出張旅費をふんだんに持っていて使い放題なのだな、と思われるかも知れない。
そこで、ちょっと説明させていただきたい。
まず、大学から各教員に毎年自動的に支給される出張旅費は、たったの数万円である。
たったの。
東京に泊まりがけで出張するとそれで終わりかも知れない。
だから、基本的に出張旅費は、教員が自分で外部から獲得した研究費や寄付金から支払う。研究費のない教員は、研究もできないし、出張も出来ない、と、きびしい状況に陥るのだ。
そういう人は結構いる。
一泊の宿泊代とか、飛行機でビジネスに乗れる、乗れない、など、出張旅費の規定は、各大学によって異なっていて、東大などの大きな大学では、各部局によっても異なるとのことだ。
山形大の場合、これが結構厳しくて、
たとえば、国内出張の場合、バスなどの公共交通がある場合はタクシー料金はでない。
だから、地球の裏側から帰ってきて、クタクタになって米沢に到着し、タクシーで自宅に帰ってもこれは自腹だ。
米沢のバスと言うのは、一時間に一本ぐらいしかなくて、この18年間一度も使ったことがない、という代物ですよ。
新幹線も、外国出張の場合、帰国の便が遅れることもあって、帰りの電車の指定券は前もって買わないのが普通だ。
しかし、きょうのように金曜の夕方とか週末だと普通車の指定券が売り切れで、自由かグリーン席しかない場合がしばしばある。しかし、グリーン席を取ると、その分は自腹になる。
疲れ切って死にそうになってても、自由席で立って東京から米沢まで2時間少しを帰って来いと言うのだ。
殺す気か…。
じゃあ、宿泊代はどうなのか。
欧米の都市部でのホテルはバカ高い。東京どころじゃないのだ。
今回のボストンでのホテル代は、学会割引で格安になってるけど、一泊税金込みで184.42ドル、日本円で約20286円。大学から支給される一泊あたりのホテル料金は決まっていて、確かこれより少なかったはずだ。
ニューヨークやロンドンでは、安全を確保でき、ある程度交通の便のいい普通のホテルでも40000円はかかるので、かなり足が出る。
もちろん、その分は自腹である。
ロンドンやニューヨークで3泊でもした日にゃ、昼飯3ヶ月は抜かなければならない。
とにかく、わたしのような年間出張日数が最高で176日にも達するようなウルトラ大学教授は、出張旅費の赤字分だけでも個人負担は相当なものだから、学内の規定がいかに非現実的か実感しているのだ。
これだけ、教員に金銭的に負担をかけているのもかかわらず、数年前から領収書ばかりでなくボーディングパスの半券の提出を義務づけるようになったし、最近ではホテル代の領収書の提出なども検討していて、その他もろもろの手続きが煩雑になる方向で事務方が動いている。
大学の事務は本来教員を支援する立場であるはずなのだが、実は、事務方の手続きを簡略化するために教員の手間が増えているのだ。
あるいは、教員が不正を働いた時に、事務方が責任逃れするために(責任ないけど)、事務手続きを増やすのだ。
本末転倒とはこのことだ。
そこで、
教員の立場で言わせてもらえば、どうせここまで手続きを面倒にし、すべての領収書を提出させるのなら、出張でかかった費用全額を支払っていただきたい。
どうせ、自分が調達した寄付金や研究費から支払うのだ。
大学には迷惑も負担もかけない。
それに、パソコンで出張手続を入力しているのだから、出張にかかった費用もすべて教員側で入力し、同時に学内便で領収書を事務に回せば、事務方の手続きとしてはそれらを照合するだけで済むので事務処理量も格段に減るだろう。
研究費に余裕があって、かつ超多忙な教員はグリーン車でもビジネスクラスでもファーストクラスでも乗ればいいし、出張先で時間を有効利用するためにタクシーに乗ってもいいだろう。
ホテルも、駅近く、空港近くの立地条件のいい便利なホテルなら時間が節約できるし、少々高くても研究費で負担すればいいではないか。
そうじゃないですかねえ。
大学事務の教員に対する非協力的な態度は、今に始まったことじゃないけど、もう、そろそろ我慢も限界に近づいてるぞ。
わたしが学長になったあかつきには、まず事務の改革から始めるからね。
覚悟しておいてくれ。
けど、
疲弊しきっている米沢市を改革するために、米沢市長にもならなければならないし、不活性化が進む山形県に活を入れるために、山形県知事にもならなければならない。
しかも、この国の教育を改革するために文部科学大臣にもならなければならず、技術立国再生のために経済産業大臣も務めなければならないだろう。
う〜ん、考えれば身体一つじゃ足りないではないか。
山形大学の事務の改革なんてちっぽけな仕事は結城学長に任せておくか。
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