テレビの進化:つづき
では、有機ELテレビは今後どのように進化するのであろうか。
まず、超薄型化である。
現在では、0.7ミリ程度のガラス基板を用い、その上に薄さが1ミクロン以下の有機ELを形成し、さらに封止のためのガラスを貼り付ける。
だから、有機ELパネルと言うのは、いまはトータルで1ミリから1.5ミリ程度になる。
携帯端末用には、基板に0.4ミリ程度のさらに薄いガラスを用いれば、トータルでも1ミリ以下に簡単にできる。
さらに、封止を「薄膜封止」と言って、2〜3ミクロンの酸化物や窒化物の膜で封止を行えば、封止ガラスを貼り付ける必要はない。
この場合、トータルでもパネルの厚みは0.5ミリ以下になる。
以上の技術は、現在でも応用可能なので、大型パネルであってもその強度を考えなければ、0.5ミリを切ることすら可能である。
さらなる薄型化には、基板に樹脂フィルムや金属フィルムを用いれば可能である。
実際に、パイオニアやソニーでは、0.2ミリの樹脂基板を用いた小型の有機ELディスプレイを試作している。
研究レベルとは言いながら、薄膜封止を用い、極限の薄さを達成しているのである。
樹脂の下敷きに映像が映っているのを想像していただきたい。
液晶がいかに画質を高めようとも、有機ELの行き着く先にはとうてい到達しないのである。
じゃあ、現実的に40インチを超える大型の有機ELフィルムテレビは、実現可能だろうか。
まず、テレビとして高画質な映像を大面積に映しだすには、各画素をオンーオフするためのスイッチングトランジスタを形成する必要がある。
残年ながら、樹脂の耐熱性はせいぜい400〜500度であるから、現在製品に用いられているプロセス温度が500度を超えるシリコントランジスタをその上に形成するのは困難である。
しかし、トランジスタでも「有機」トランジスタは室温で成膜できるので、樹脂基板上にでも形成できる。先のソニーの試作したフィルムディスプレイは、実は有機トランジスタ駆動の有機ELディスプレイなのである。
ただし、有機トランジスタの耐久性がまだ実用化レベルにはなく、さらなる研究開発が必要である。
最も現実的な方法は、基板を金属にすることである。たとえば、ステンレスホイルなどを用いると薄さと強度、耐熱性までも満足することができる。
したがって、0.2ミリのステンレスホイルを基板に用いれば、現在使用されているシリコン系のトランジスタが使用できるようになる。
ただし、基板がガラスや樹脂と異なり、不透明になるので、その上に形成する有機EL素子は、基板と反対側に光を取り出す構造とする。
いわゆるトップエミッション構造である。
トップエミッション構造は、すでにソニーの製品パネルで採用されている。
だから、現在でも0.2ミリの大型有機ELディスプレイを試作しようと思えばできるのである。
有機ELは今後5年以内に、畳2枚分程度の大型基板を用いる量産方法が確立され、コストはドラスティックに低下する。
よって、10年後には120インチのペラペラ壁貼り有機ELテレビが、20万円程度で販売されているであろう。
また、消費電力も現在の20インチの液晶テレビ並となり、究極の省エネテレビともなる。
10年後、ここまで、テレビの価格が下がれば、壁紙のように有機ELパネルを壁や天井に貼り付けて一面をディスプレイにすることも可能である。
だから、照明もかわる。
昼間は天井に青空が広がり、雲が流れる。
夕方には夕焼けが、そして寝るときには満点の星空が映し出される。
壁には、あたかも大きな窓があるように、風景が映し出される。
時にはハワイの海岸が、時には森林が。
ふるさとの風景が。
テレビやビデオ映像ばかりでなく、壁一面が電話のモニターとしても機能し、話し相手が等身大で映し出される。
あたかも、そこにいるようにね。
だから、有機ELの可能性は計り知れない。
これは、デバイスが全固体型であり、しかも下敷きのように薄くでき、しかも単純な製法で安くできるから実現できるのである。
だから、有機ELはまだまだ進化するのである。
日経の「うし」さん、わかりました?
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