国立大と私立大
(2019年3月)
職業柄、いろんな人から相談されます。
一昨日も、知り合いの受験生からこんなLineをいただきました。
もともと彼は機械系の専門を勉強したいと思っています。
要点はこんな感じです。
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お久しぶりです。
予定通り、私立のA大と、国立のB大学を受けてきました。A大学に関しては、工学部電気工学に受かりました。おそらくB大学も、受けた感触としては、合格していると感じています。
今更ですが、どちらに行くか迷っています。
B国立大学で学べる事は、確かに自分の学びたい事を多く含んでいますが、体力的なことや、周りの人間関係に少し不安感じています。一方、A私立大は、電気系の学部ですので、機械関係のことは、あまり含まれていません。また、A私立大は、留年せずに4年間で学部を卒業する生徒は、入学時の7割程度であり、かなり努力しないと進級出来ないのでは?と感じています。二浪している自分は、留年してしまうと、就職の時に欠点として、見られてしまう可能性がある事を不安に感じています。しかしながら、留年せずに卒業すれば、就職も自分の興味がある企業にも、就職できると思われます。
少し専門の違うA私立大に行くのか、体力的に厳しそうであり、友人関係に悩む可能性があるが、自分の興味のある事を学べるB国立大学に行くか悩んでいます。
大学に進学するにあたって、大事な事は何であるのか、良ければアドバイスお願いします。
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で、
私からの返事です。
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まずは、おめでとう!よかったね。
複数の大学に合格して、どちらに行くか悩めるなんて最高です。
大学教授の立場からアドバイスすると、まず大学を卒業した後に何をしたいかを考えることです。例えば、40歳の時の自分は何をやってたいとか。なぜ40というと、人生で一番の働き盛りだからです。そして、その夢を実現するためには、どちらの大学に行くべきか、一番の近道はどちらなのか、考えればいいでしょう。
将来、企業に就職したいのであれば、今は少子化で人材不足、売り手市場なので、4年後を考えると就職で困ることはないでしょうね。A私立大の留年率を気にしてるようですが、大学で留年する学生は、学力的についていけなくて留年するのではなく、勉学以外のことに夢中になって、大学に行かず、単位を落としまくって留年するケースがほとんどです。入学できる学力があれば、十分ついていけるので心配しなくていいです。
A私立大とB国立大の学生気質の違いですが、同じ日本人ですから大きく異なるとは思えません。逆に、B国立大なら同じ夢を抱いてる学生がきっと多くて、仲間意識が強く、生涯の友ができやすいかもしれません。体力不足は心配しなくていいでしょう。私も3浪でしたけど、すぐに競技スキーのサークルに入って、体力は戻しましたから。
A私立大を勧める人は、A大の方が有名だからとの理由だと思いますが、それは確かに卒業生が多いと、社会に出てからもその繋がりで、仕事が少しはやりやすくなるかもしれませんが、社会は所詮実力ですから、まあ飲み会が多少多くなるくらいでしょう。
基本的に自分の興味のあることを学べるのが大学ですから、私だったら、B国立大に行くでしょう。体力とか、友人関係とか、なんとかなるものです。
私学と国立の大きな違いは、学生数です。教員一人当たりの学生数が私学では多くて、講義は大講義室、研究室配属も教員一人当たりに10人とか20人。実験室も狭くて、学生一人当たりの実験室の大きさは一畳くらいかもしれません。研究らしい研究ができないのが、ほとんどの私学の実情です。一方、国立では、教員一人当たりに学生が4〜5人、うちのような教授、准教授、助教体制でやってるところで10人程度です。そういう意味でも、国立では教員と学生の距離が近くて、学生に対してやさしい大学とも言えます。また、私学の大学で研究面で有名な先生がとても少ないのは、研究環境が劣悪なのが理由でもあって、研究したい教員は私学には行きません。専門の研究を追求したいなら、迷わず国立です。
A大の留年率が高いのは、教員と学生の距離が遠いのも理由の一つでしょうね。
そういう点からも、国立をお勧めします。
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以上、
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