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2021年1月23日 (土)

名前で決まる研究テーマ

  

20210121-214736

   

実は、一昨日の記事は月刊化学の連載第4回目でした。

第一回目は、こちらです。

おヒマでしたらどうぞ。

   

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研究テーマとの出会い

〜興味と偶然のアンテナを磨け〜

     

早稲田大学の競技スキーの同好会ではスカーゼスキークラブが名門とされていて、そこのエースだった筆者は(うそです)、3年までスキーとバイトに明け暮れていた。

運良く4年生にストレートで進学でき、しかも高分子化学の土田英俊研究室に三次配属で潜り込むことができたが、さっそく土田先生に呼び出された。「君はどんな研究がしたいんだね。」

そこで筆者、「人工光合成です。」ときっぱり。

まあ、これができりゃあ人類が救われるしノーベル賞間違いないわな、みたいな軽いノリでね。すると先生、「う〜ん、それも面白いんだけどねえ、城戸君なんだから希土類の研究をやってみないか。」と研究テーマがダジャレで決まった。

そんなことで高分子稀土類金属錯体の研究に取り組むことになった筆者は、月に一度、高崎の原子力研究所に出向いてポリエチレン樹脂に電子線照射を行ってアクリル酸-アクリルアミド共重合体のグラフト重合とかサマリウムイオンの選択分離なんかを経験しているうちに、研究ってスキーより面白いかもしれないと思いはじめて大学院進学を決意した。

そこで、土田教授に相談。

教授曰く、「君は成績が悪いからアメリカに行ってゼロからやり直したまえ。学科150人中、下から3番なんだから。」。

「はい、わかりました。」と二つ返事の軽い筆者。

中学の頃からアメリカに憧れ、いつかは渡航してみたいと夢にまで見ていたアメリカ。なんとか両親をだまくらかして留学することになった。

そんなことで1984年からニューヨーク工科大学(当時のPolytechnic Institute of New York)に留学した筆者は、あのノーベル化学賞受賞者H.C.Brown教授の教え子でもあるヨシユキ・オカモト教授のもとで引き続き希土類錯体の基礎研究に取り組んだ。水溶液中でのポリアクリル酸などの高分子電解質とユウロピウムイオンやテルビウムイオンの錯形成反応を追っかけて、それら稀土類金属イオンの発光スペクトルを測定する毎日。ある日、試薬棚にあった前任者の残していった希土類錯体を分散したピカピカ光る蛍光性のアクリル樹脂サンプルを手に取って思った。「う〜ん、これを電気で光らせたら世界が変わるで。」

そこで、オカモト教授に相談。

「希土類錯体を電気で光らせる研究をしたいんですけど。配位子を電気的に励起すれば中心金属イオンが光るはずです。」

すると教授、「じゃあ、ニューヨーク大学のマーチン・ポープ教授を紹介してあげよう。」

先生によると、ニューヨーク大にお勤めの頃、ポープ教授の為にアントラセン単結晶を作製されたとか。当時、ポープ教授といえば、1963年に発表されたアントラセン単結晶のエレクトロルミネッセンスの論文の共著者であり、筆者にとって伝説の研究者はすでに雲の上にいらっしゃると思ってたので、大いに感激。ニューヨークのダウンタウン、ワシントンスクエア近くの大学の決して大きくないオフィスで丸い眼鏡をかけた初老のポープ教授と対面したのは一ヶ月後。有機エレクトロルミネッセンスとの出会いだった。

    

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で、後日談です。

  

92

       

山形大助手になり、92年のニューハンプシャーで開かれたゴードン会議でポープ先生(写真:最前列真ん中)と再会した時に、

あの時にオフィスでお目にかかった城戸です

と自己紹介したら、全然覚えておられなかった。

       

とほほほほ、、

     

それにしても、みんな若いなあ。

 

      

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