巻けるテレビ
(写真:山形大の印刷TFT有機EL)
CES2019がラスベガスで始まりました。
いわゆるエレクトロニクスショウなんですが、日本のエレクトロニクスショウは今やしょぼくて見に行く気もしませんが、CESは今回もおもしろそうです。
多分、一番の注目はLGの「巻けるテレビ」ではないでしょうか。
詳細は、
で、
これは昨年もデモされてましたが、今回注目される理由は近々店頭に並ぶからです。
技術的に何が新しいかというと、実は特段新しいものはなくて、
ご存知のように、iPhoneやGalaxyに使われてる有機ELディスプレイは基板材料がポリイミドというとても薄い樹脂性で、曲がるどころか折りたたむことすら可能です。
LGのテレビの場合、50ミクロン程度の薄膜ガラスを基板に使用しているので、たわませたり巻き取ったりできるわけです。
このテレビ技術の本質を理解している人はほとんどいなくて、
先ほどもテレビ番組の取材を受けながらそう思いました。
実は、
「巻ける」ことを利用して、必要なときだけ引き上げてテレビを見るという使い方ができるから重要なんじゃなくて、
軽いこと、
持ち運びができること、
がポイントです。
なぜかというと、
今後、テレビは大きくなります。
この77インチも数年後には普通のサイズになるでしょう。
大きなものは、85インチ、100インチ、120インチなんていうサイズが店頭に並びます。
けど、
液晶テレビだと、85インチ以上はマンションのエレベーターに乗らなかったり、ドアを通らなかったり、
とにかく、このような超大型テレビはいくら安くなっても液晶だと普及させることが原理的にできません。
その点、
軽くて、丸められる有機ELなら、持ち運びや設置が非常に楽になります。
壁にかけるにも補助の器具は必要ありませんし。
85インチで8Kテレビで、30万円ならみんな買うことでしょう。
それに、
今後はテレビをテレビとして使うことはありません。
コミュニケーションツールとして使われるようになります。
テレビ電話、テレビ会議、その他諸々、
仕事に遊びに、
壁紙に映像が映れば、リビングから一歩も出ることなく生活ができるようになります。
等身大の人と、まるでそこにいるかのように話ができるわけです。
何を隠そう、
山形大学では、ペラペラの壁紙のような有機ELディスプレイを印刷で作る技術を開発しています。
その使い方も、スマート未来ハウスで実証実験を行いながら開発しています。
LGが使用している、白色マルチフォトン型有機ELも、基板ガラスを振動させて有機ELから音を出す技術も、
ずいぶん前に山形大で開発したものです。
すなわち、
我々が取り組んでいる印刷でできる超大型フレキシブル有機ELディスプレイも近い将来実用化されるでしょう。
その時に人々の生活そのものが変わりますので、
お楽しみに。