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2018年2月 7日 (水)

マスク事業

 

 

まずお読みください。

 

 

日経東北版から:

 

Vテク、山形県米沢市に有機EL用マスク生産工場

2018/2/6 22:00

 

東証1部上場のブイ・テクノロジーが山形県米沢市に進出する。6日、杉本重人社長が吉村美栄子山形県知事らと県庁で記者会見し発表した。スマートフォン(スマホ)に使われる有機EL生産に必要な次世代蒸着マスクなどを量産する。またVテクが有機EL照明のルミオテック(山形県米沢市)を4月に三菱重工業から譲り受けて子会社化することも発表した。

Vテクは、1997年創業のフラット・パネル・ディスプレー(FPD)製造装置メーカー。201712月に設立した子会社のブイ・イー・ティー(VET)が米沢に進出する。

米沢八幡原中核工業団地に立地、ルミオテックの工場と隣接する空き工場を合わせ建物面積6000平方メートルの工場に、生産に必要な設備を導入する。4月に着工、8月に完成させて、10月からサンプル出荷を始める予定。20年度に160億円の売り上げを目指す。設備投資額は約50億円で、操業開始時20人を雇用する予定。

Vテクは米沢への工場進出で、新たに有機EL用蒸着マスクや蒸着装置製造に参入する。iPhone向け有機ELは、韓国サムスンが独占供給しているが供給能力が限られている。一方、Vテクはサムスンより高精細で製造が容易な次世代蒸着マスクを開発済み。

工場本格稼働時には蒸着マスクを月産300枚を見込む。iPhone生産量の25%に相当する有機ELが生産できる規模という。

米沢進出は、有機ELの第一人者、城戸淳二・山形大学教授が橋渡しした。記者会見した杉本社長は「米沢は有機EL発祥の地。サムスンの高精細化は足踏みしており、特許技術でその限界を打ち破る」と話した。

 

 

ということで、よくわかったようなわからないような。

  

で、

解説します。

 

今回の発表は、よく読むと二つの重大ニュースが含まれています。

きょうはまず、蒸着マスク工場進出の話。

  

蒸着マスクというのは有機ELディスプレイを製造する時に必要は部品。

スマホなどのディスプレイには、赤、緑、青の発光点が配置されてます。そのひと組を画素と言いますが、5インチの画面なら100万個以上の画素が並んでます。

その画素の形成は、とても薄い金属のシート状の薄い板に細かい穴が空いていて(蒸着マスクと言います)、それを通して有機色素を蒸発させてその部分だけに発光点を形成します。

ですから、蒸着マスクには無数の細かい穴が空いていて、穴の位置に青や緑、赤の色素を少なくとも3回成膜するのです。

近年、ディスプレイの精細度がどんどん上がり、画素密度400ppiは当たり前、ppiというのはピクセル パー インチ。すなわち、1インチ(2.54cm)に400もの赤、緑、青から構成される画素があるとうことです。ですから、画素のピッチが0.064ミリ(64ミクロン)というからとてつもなく細かいことがわかります。

 

ですから、ディスプレイ製造時には、例えばガラス基板上の所定の位置にマスクを合わせる訳ですが、その位置合わせ精度がミクロン単位でとても繊細なんです。

特に蒸着時にはルツボを加熱して有機色素を蒸発させるので、その輻射熱で金属マスクが膨張したり、マスクが大きくなると自重で基板との隙間が空いたりと、現場の職人技と経験で製造時の歩留まりをあげています。

サムスンも数年かかって、この技術を確立しました。

 

で、今。

 

中国でも有機ELの製造ラインが立ち上がりつつあります。

けど、

職人いないです。

技術ないです。

装置を買ってきて、

材料を買ってきて、

すぐに作り始めたいんだけど、

 

それができません。

 

その理由の一つが、蒸着マスク。

 

今回のVテクノロジーのマスクは、

従来の蒸着マスクと違い、

ポリイミドという耐熱性の樹脂と、金属のハイブリッド。

  

だから、

軽い、

熱で膨張しにくい、

 

だから、

 

使いやすい。

そ んな技術をコツコツと開発しました。

 

基本的にVテクはファブレスです。

技術を開発して、設計して、

協力会社さんに製造してもらって、

 

売る。

 

 

けど、

今回は違います。

自社でマスクを製造販売します。

 

 

それくらい、

自身のある技術なんです。

 

近い将来、蒸着マスク市場は1000億に。

そのうち、20%を取れれば200億。

50%で500億。

 

そんな製品をここ米沢で製造するって、

直接的、間接的にも米沢、山形にとってメリットは大きいですね。

   

  

報道では城戸が橋渡ししたとなってますが、

実はVテクの杉本社長は山形大で社会人博士課程を修了した工学博士です。

TFT基板を簡便に、低コストで製造できる技術で博士論文をまとめられました。

 

もともと防衛大では機械工学の専門で機械設計のプロ。

技術者であり経営者、

だから即断即決、とにかく目利きができる経営者なんですね。

当研究室ともTFT基板の新規製造方法の共同研究を行ってますし、山形大のイノベーションセンターで有機ELの重要技術の開発を共同で行ってる山形大の信者でもあります。

  

その社長が、蒸着マスク製造を米沢で行うと決断したのは、まあ、自然な流れです。

 

これで、米沢には

材料研究、デバイス開発、パネル試作、照明用パネル製造(ルミオテック)
、小型ディスプレイ製造(東北パイオニア)、そして製造装置メーカーと有機EL関連の技術開発から製造まで、全て揃うことになります。

 

こんな地域は世界でここだけなんです。

 

あとは、ベンチャーを成功させて、

夢のある地域としてのブランドを確立して、若者が集まる地域にするだけです。

有機エレクトロニクスバレーも仕上げのフェーズに入りましたね。

 

  

明日は、重大ニュースその2のルミオテックの解説をいたします。

お楽しみに。

  

 

 

 
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