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2014年3月 2日 (日)

イーエルテクノ倒産

 

 

まず読んでください。 

 

 

帝国データバンクから:

 

 

2014/02/25(火)

有機ELパネルの開発・製造

株式会社イー・エル・テクノ

破産手続き開始決定受ける

負債13億9300万円

 

 

TDB企業コード:966068898
「福岡」 (株)イー・エル・テクノ(資本金5億1742万5000円、福岡市早良区百道浜3-8-33、代表豆野和延氏、従業員13名)は、2月19日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。
  
破産管財人は卜部忠史弁護士(東京都港区虎ノ門4-3-1、電話03-5408-6160)。
 
当社は2010年(平成22年)4月、有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)パネルの開発を手がけていた(株)エスケイ・ディスプレイ(岐阜県安八町、2006年3月解散)の元技術者が中心となって設立した。発光ダイオード(LED)に続く次世代照明として注目される、有機EL照明パネルの成膜工程からモジュール組み立てまで一貫して製造する事業を計画。地場を含む大手企業や投資ファンドなどからの出資を集めるほか、国や基金などからの助成金も得て、2011年10月には約15億円を投じて熊本県合志市に工場を設置。将来的な量産を視野に2012年3月から試作品の製造を開始していた。
 
しかし、2013年3月期の年売上高は試作品や研究開発支援にともなう収入の約6000万円にとどまるなど、計画進捗の遅れが表面化。研究開発費が嵩んで大幅な経常欠損を余儀なくされていた。2013年秋口からの量産本格化を目指していたが、設備投資にともなう有利子負債が重荷となり、資金繰りが悪化。追加出資の見通しも立たず、今回の措置となった。
 
負債は約13億9300万円。

 

・・・・・・・

 

 

ということで、元三洋電機の有機ELの技術者中心にスタートした有機ELの会社が倒産した。

設立した当時のニュースがこれ。

 

 

・・・・・・・

 

 

イー・エル・テクノ、有機EL照明を量産-来年度、熊本事業所を開設

日刊工業新聞  2011/10/14

 

 【福岡】イー・エル・テクノは、2012年6月をめどに熊本事業所を開設し、有機EL照明の量産を始める。現在クリーンルームや成膜装置、回路をつくる装置などの整備を行っており、有機EL照明の普及促進に取り組む。量産により12年度の人員を現在の10人から3倍増の30人程度に増やす計画だ。

 熊本事業所は3階建て、延べ床面積1500平方メートル。既存の空き工場を改装して入居する。13年度以降の増産に備えて増設スペースも確保している。投資額は15億円。当面はガラス基板を採用するが、将来はフィルム型も製品化する考え。大きさや価格などの詳細は明らかにしていない。

 イー・エル・テクノは有機EL照明の生産を目的に、10年4月設立したベンチャー。資本金は約2億6000万円。昭和電工や熊本県起業化支援センター(熊本県益城町)などが出資している。また、九州大学やくまもと有機薄膜技術高度化支援センター(熊本市)とも連携している。

 13年3月期は工場稼働率6割、売上高約13億2000万円を目指す。当面は、店舗用照明として照明器具メーカーに製品を供給する。有機EL照明は発光効率が高いため省エネルギー効果があり、自然光に近い状態で見えることなどが特徴だという。豆野社長は「将来は家具や洗面台、オモチャなどへの採用を見込んでいる」としている。

 

 

・・・・・・・

 

 

要するに、熊本県、経済産業省、文部科学省、九州大学などなどが直接的、間接的にかかわってきた九州版有機エレクトロニクスバレーの研究開発成果実用化の工場。 

それが破綻した。

 

一方、ご存知のとおり、山形では東北パイオニアの有機ELディスプレイ、三菱化学パイオニアの照明用有機ELパネル、ルミオテックの有機EL照明パネルと有機ELに関しては三つの事業が進行している。有機EL照明器具を製造販売している会社も3つある。

そして、山形県内には次から次へと有機EL照明が設置される店舗も増え、吉村知事も山形県を有機ELのショウルームにするとおっしゃるくらい、山形県や米沢市も一体となって産業化を進めている。

 

 

で、

同じ有機ELなのに、

何が問題だったのか。

九州と山形と何が違うのか。

ここで解説したいと思う。

 


まず、

ルミオテックとイーエルテクノの違い。

 

ルミオテックは山形大城戸、三菱重工、ローム、凸版印刷、三井物産の合弁。

それぞれの強みを持ち寄り、世界一の技術力で未開拓の有機EL照明分野を切り拓くと言う志の高い会社。

しかも、高輝度での高効率、超寿命を確保できるベースの技術であるマルチフォトン素子構造は特許で守られている。

 

ここで説明しておくと、

白色有機ELと言っても照明に使えるのは3000カンデラ/平方メーター以上の輝度が必要で、それより低いのは単なる白色有機EL。電飾などの飾りには使えても照明には使えない。 

 

ルミオテックのホームページを見ると、

このとおり、パネルの仕様を見ることができる。

 

 

Photo  

 

 

一方、イーエルテクノのホームページ。

パネルの仕様はなし。

特許ライセンスした覚えはないので、もちろんマルチフォトンじゃない。

だから、高輝度での使用にはむかない、電飾向け。飾りですね。

ということは、販売価格も一枚500円程度じゃないと売れない。

ということは、現状のラインで生産したのではとてもペイしない。

 

 

Photo_2

 

 

要するに、イーエルテクノという会社は、ベンチャーなのに保有する特許もなく、技術的な裏付けもなく、単に、元三洋電機の技術者が、エンゼル(誰か知ってるけど)とか大企業とか熊本県から補助金をもらって立ち上げただけの白色有機EL試作工場。

儲かるわけがない。 

だから、資本金を食いつぶし、増資がなければその瞬間アウト。 

 

だから、これまで個人的にイーエルテクノのことを訪ねられたときに、ぶっちゃけ、「5年以内に潰れます」と言い切っていた。

私から見たら、この会社はベンチャーでも何でもなくって、

単なる失業した有機EL技術者の短期的雇用会社。

 

もちろん、こんなことブログで書いたりしたら営業妨害で訴えられかねないので、書かなかったけどね。 

実際には5年もたなかったわけで、予想は当たった。 

って言うか、冷静に判断すれば中学生でもわかる。

熊本県や各省庁の関係者が前もって聞きに来てくださったら、正直にお答えしたのに、

一度も来られなかった。

 

 

実は、この手の会社には前例がある。

青森の東北デバイス。 

この会社に関しては、このバカブログでも紹介している。 

青森の某会社の社長だったか会長が青森県内に有機ELの工場を造りたいとおっしゃるので、技術者を山形大学に送り込まれ、有機ELの作成方法を学ばれた。 

山形大との関係はただそれだけ、連携もしてなかったし、技術指導もしてなかった。

 

その後、青森県から補助金をもらい、工場を立ち上げ、白色パネルを試作し始め、パネルの開発状況や出荷状況などを新聞発表され、花火を上げ、さらなる資金調達しようとされたけど、あえなく倒産。

多くの出資したベンチャーキャピタルや関連企業を落胆させた。

この時も、個人的に東北デバイスのことを聞かれたときには、「5年以内に潰れます」と自信を持って答えていた。

それも当たったわけですけどね。

 

だから、こういう前例があるにもかかわらず、 九州で同じことが起こるとは、なぜ学ばなかったのか、不思議でならなかった。

 

で、

今回巻き込まれたのが出資していた昭和電工。

 

 

・・・・・・・

 

昭和電工、有機EL撤退-パワー半導体などに集中

日刊工業新聞  2014/01/13

 

昭和電工が有機EL照明事業から撤退することが分かった。既に研究開発を打ち切っており、現在は独自技術に関する特許・ノウハウの売却などを検討している。同照明は次世代照明として期待を集めるが、本格的な市場形成には至っていない。一方でパワー半導体用の材料やリチウムイオンバッテリー(LIB)材料といった事業が育ってきていることもあり、成長分野の選択と集中を進める。

 

2013年内に予定していた有機EL照明パネルの量産試験も取りやめた。ただ、同社の照明パネルには約45%と高い光取り出し効率を実現する独自技術・素材がある。一連の技術・特許の売却や、技術供与を検討していく。

一方、車載などを用途に需要が高まっているパワー半導体用炭化ケイ素(SiC)ウエハーを設備増強しているほか、LIB向けのラミネートフィルムや負極材、バインダーなどの事業も育ってきた。これらの事業の育成に経営資源を集中投下する。

パネル全体が均一に発光する有機EL照明は影を生みにくく、光の質も発光ダイオード(LED)照明と違うといった特徴から、15年から20年ごろにかけてホテルや小売店で普及が期待される。ただ、価格や耐久性などの課題は完全には解決できておらず、早期に一般家庭に普及する見通しは立っていない。

  

・・・・・・・

 

 

ということで、イーエルテクノの倒産とともに、昭和電工の長い有機EL材料の開発の歴史に終止符が打たれた。 

出資する前に問い合わせていただければよかったのに、とても残念です。

あの会社には友人も多いんだけどなあ。

 

大手化学会社には、こういう電子デバイス分野でのビジネスに目利きがいないのか、端から見ていて大間違いをおかしている会社が多いのには驚かされる。

 

で、

最後にこの記事:

 

 

・・・・・・・ 

 

半導体産業新聞 から:

 

12兆円の有望マーケット「有機EL」に全力投球せよ

 

~サムスン席巻の状況下で日本勢の巻き返しに注目~

2013/2/1

(株)産業タイムズ社 代表取締役社長 泉谷渉

 

 ノーベル賞作家の大江健三郎氏の作品は数多いが、『遅れてきた青年』は特に面白い。その中身を解き明かすことはここではしないが、大江氏の初期の作品は決して神々しいものではなく、セックスを素材に取り扱った作品が多かった。それゆえに筆者は中学生の頃から大江健三郎をえらく愛読していたのだ。

 

さて、エレクトロニクス業界において「遅れてきた青年」というのは、まさに有機ELのことだろう。大体がEL(エレクトロルミネッセンス)という概念は、液晶による電子ディスプレーよりも先に生まれていたといわれる。ところが、液晶ディスプレーが飛躍的な技術の進展を遂げ一気に巨大化していくのに対し、有機ELは開発も量産も立ち遅れてしまった。

 

「有機EL製造装置の開発は非常に難しい。蒸着源のところで解決できない問題も多い。また、発熱の問題を抑えるためにキラーとなる材料が必要であり、具体的に言えば固体封止膜であるが、これまた完全なものができていない」

 こう語るのは、有機EL製造装置の開発に意欲的に取り組む長州産業の岡本要社長の弁である。メーンの装置については、良く知られているようにキヤノントッキが先行し、これをアルバックが追いかけ、装置最大手の東京エレクトロンが本命ともいうべき装置を出してくる、といわれている。材料面での問題もまだ解決できないが、なんといっても決定的な装置がないことが問題なのだ。

有機EL市場は必然的に、いずれ巨大化すると目されている。第一に液晶市場12兆円のうち、50%が有機ELに置き換わるとの予測もあり、これで6兆円の市場がカウントできる。今年の米国における家電見本市においては、ソニーとパナソニック連合軍による有機EL4Kテレビがかなりの話題を呼び起こした。また、量産で先行するサムスンやLGは有機ELテレビの完全な商業化をアナウンスしている。

一般照明といわれる分野は世界市場が12兆円だが、すでに1兆円程度がLED照明に変わりつつあるのだ。この次世代照明も当初はLEDが走るものの、使い勝手や光源としての高品質を考え合わせれば、やはり有機ELが本命だとする声が多い。白熱電球や蛍光灯がいまだ主流である照明市場12兆円のうち、50%を有機ELが獲得すれば、これまた6兆円の市場が切り開かれる。液晶と一般照明の置き換えにより12兆円の巨大マーケットが開けようとしているのだ。

 

しかして現状のマーケットはせいぜいが3000億円あるかないか、というところだろう。有機ELを一般の人に有名にしたのは、サムスンのスマートフォン・GALAXYに搭載されたことだ。現状の有機ELディスプレー市場におけるサムスンのシェアは80~90%と推測され、現時点ではブッチぎっている。

 

しかしながら、ここに来て日本勢の巻き返しも加速している。犬猿の仲といわれたソニーとパナソニックが共同開発を進め、その成果はすでに製品発表の領域まできた。セイコーエプソンも東京エレクトロンとタイアップし、新型有機EL製造装置の開発を進めている。シャープ、コニカミノルタ、昭和電工もまた独自の開発で有機EL本格量産の道をさぐっている。パイオニアは文字どおり有機ELのフロンティアランナーであるが、三菱化学と提携し有機EL照明事業に乗り出している。中小型の低温ポリシリコン液晶で成功を収めているジャパンディスプレイも、明確に量産工場建設を意図すると表明しているのだ。

 

一方、ベンチャーの動きも加速している。横浜に本社を置くエイソンテクノロジーは滋賀県大津に量産の第1ラインを建設中であり、4~5月ごろには動き出すと見られる。

 

「このエイソン型有機ELは、材料使用効率が90%と圧倒的に高く、製造スピードが50~100倍違う。これで世界で勝負できると考えている」

 こう語るのは、エイソンの中川幸和社長である。山形県米沢では山形大学の城戸淳二教授の開発成果を元にしたルミオテックというベンチャーが商業量産に踏み切っている。青森県六ヶ所村にはOLED青森というベンチャーがあり、これはカネカの出資を仰いで具体的な投資戦略を作成中だ。また、九州の地にあっては、ベンチャーのイー・エル・テクノが熊本新工場を立ち上げ、店舗照明向けの量産を開始している。

 

そしてまた、日本勢が固唾を呑んで見守っている画期的な材料開発がある。それは、九州大学の安達千波矢教授による液体有機ELの研究であり、一方で高効率化を目指しエネルギー差の少ない新規材料の開発にも取り組んでいる。産官学を上げての有機ELに対するニッポンの挑戦がいよいよ始まったのだ。

 

・・・・・・・

 

 

正直言って、この記事間違いだらけ。

あまりにも多くって、どこがどうって、指摘しないけど。

まず言えるのは、有機EL照明会社と言っても、まともなものからうさん臭いものものまで、さまざま。

それは外部からは見えない。

 

照明用有機ELパネルのコストにしても、有機半導体材料、基板などの部材、プロセス、歩留まり、デバイス性能、などなど複雑に絡み合う。

たとえば、発光材料の値段が半分になったからと言って、パネルの値段が半分になるわけじゃない。なぜなら、有機ELには数種類の有機半導体が使われていて、発光材料は重量で言うとその1%以下しか用いない。全体のパネル製造コストに締める割合は、まあ、高くて数%程度でしょうか。

発光材料よりも、ITO電極をより低コスト化なものに変えた方が、よっぽどパネルの値段は下がります。そういう技術は山形大学有機エレクトロニクスイノベーションセンターで経済産業省の援助を受けてコンソーシアム形式で企業と開発を進めてます。 

また、プロセス面での革命がドラスチックに価格の低減に結びつくので、将来を見据えて、蒸着ではなく塗布で連続的に製造する方法を山形大学では文部科学省JSTの支援を得て進めているわけです。

 

 

まとめると、

有機ELの事業化、産業化、地域活性化というのは、その分野を全体的に俯瞰しつつ、かつ将来を見据えて、研究開発だけではなく事業化までを推進することが重要。

そう言う意味でも、材料開発からプロセス開発、そして製品プロトタイプの試作を行っている山形大を中心に、有機EL生産工場が集積している山形のアクティビティの高さ、真剣味は、青森や九州とは比較にならない。

 

今回のイーエルテクノ倒産劇も、見る人が見れば当然の結果であったわけで、これをもって有機EL照明が失敗したとは言われたくない。

 

 

 

 

 

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