米沢の奇跡
昨夜、ボストンから帰国したと思ったら早速きょうは東京に出張。
朝一の講義を済ませててから10:40発の「つばさ」に飛び乗り、お台場近くの国際交流館で開催されているNEDOフォーラムへ。
今回はNEDO省エネプロジェクトの報告会ということで有機エレクトロニクス研究所の所長という立場で発表。
先導研究フェーズで洞爺湖サミット出展までこぎ着けたということで、関係者から高い評価を受けた。
東京駅まで戻り、共同研究しているデバイスメーカーの方と待ち合わせをして、いっしょに材料メーカーにうかがった。ここでは新規開発中の秘密の製品に関してこちらの技術を披露し、ぜひとも協力してくださいな、ということで行ったんだけど期待以上に期待していただき共同研究の話がとんとん拍子に進んだ。
やっぱりわかる人にはわかってもらえるのだなあと、技術者、研究者間の阿吽の呼吸というものを感じた。
話は前後するけど、行きの「つばさ」の中で先週の木曜日の朝日新聞を読んだ。

「有機ELバレー〜明日への岐路〜」の最終回が掲載されてるだろうと思って、留守の間に買っておいてもらったのだ。
「人材集積”オウルの奇跡”」と題して、フィンランドのオウルという町のITクラスターの成功例が紹介されている。
オウルは米沢と町の規模や工業出荷額はほぼ同じ程度だけど、決定的に違うのはオウルではノキアのなどの中堅企業の社員が次々と起業してエレクトロニクス関連の企業が800社を超える点だ。人口も10年で30%増えたとのこと。
まあ、細かい点は記事を読んでいただくとして、気になる点を抜粋してコメントしたい。
その1.80年代はオウル大学やオウル市、ノキアが先導役だったが、90年代にはいると商工会議所やオウルで生まれたベンチャー企業も研究所やビジネススクール開設などの街づくりに参加していた。一方、山形県の有機エレクトロニクスバレーの場合、関心を持っているのはまだ1部に限られている。
コメント1.読んでわかるとおり、オウルでは「街が発展するにつれて力を貸す人が増えるようになる」まで10年かかっている。最初の10年は市と研究所とノキアだけでITバレーを作ろうと努力していたのだ。山形のバレープロジェクトも始まってまだ5年。これで成果(たとえば税収ね)が見えないなどと言う人は街づくりを語る資格はないと思うし、オウルでもカリフォルニアのシリコンバレーでも産業集積は20年間の努力の積み重ねの結果なのである。
始まって5年や7年でプロジェクトを継続する、しないなどの議論はあまりにも低次元すぎる。30年かかってもいいからバレーを作るのだ、という強い信念が成功に導くのだと思う。
その2.山形大学工学部の松田修教授は「施設などハード面を整えるより、技術者とその家族が生活に満足してもらえるようソフト面を充実させるべきだ」と話す。
コメント2.管理人も前からこの点を指摘してる。
ようするに技術開発だけでは人と金は集らない。そこで、研究所、山形県、県産業技術振興機構がそれぞれを役割分担し、バレー構想を進めるべきと主張してるんだけど、研究費や人材の確保、有機ELの広報活動まで研究所にすべてをまかせられた(押し付けられた)。だから、ここでいうソフト面の充実なんてまったくの手付かずである。
米沢市役所(あるいはそのごく一部)など来年の大河ドラマ「天地人」に浮かれっぱなしで、外国人対応どころか日本人対応すらできてないし、その気すらないし、そういう問題があることすら知らない。ノボリをあちこちに立てればいいというもんじゃあない。
たとえば上杉神社に直江兼続の説明書きが新たに設置されたけど日本語の説明だけ。
外国人観光客にはちんぷんかんぷん。
なんとかしてよ、米沢市の担当!
ついでに言わせてもらうと、市内にどれだけ英語の説明がある?
観光客に対してですらこの有り様で、外国から移住しようとする人に対するケアなんてできるわけがないよな。
これは米沢に限らず県としても対応ができてない。
齋藤知事が山形を「世界のふるさと」にして世界中から人を集めるとマニフェストに書かれてるんだけど、山形県庁はこれまで世界対応なんてまったくしてなかったし、考えてなかったんだから。その点、齋藤知事のビジョンは正しいと思う。ただし、そのアプローチ、方法も示して欲しいところだけど…。
管理人は世界対応も重要だけど、正直言って日本人すら集らない地域になぜ世界の一流どころが集るのか、まずそれを考えて欲しいと思っている。
すなわち、なぜ、八幡原工業団地の企業の努める人たちに単身赴任がこんなに多いのか。
なぜ、米沢市の人口が減少しつづけるのか。
なぜ、若い人達が首都圏に流出するのか。
そこだよ。
ちょっと考えて欲しい。
首都圏在住の家族、父親が米沢のベンチャーで働くことになったとする。
奥さんと高校生の息子はどうするのか。
奥さんは自然豊かな米沢への引っ越しOK、でも息子は転校する必要がある。
上位の公立高校に通っていて成績もいい。
転校先は米沢だと県立興譲館高校だろう。
でも、定員があって空きがないと転校できない。
いったいどうするの、この状況。
県の誰かさん、考えたことありますか?
地元に人にはわからないでしょう。
考えたこともなかったでしょう。
ほかにも問題や課題が山積しているのに市議会議員、県議会議員、市長、知事、そして民間も含めて有効な手だてをしてきたとは思えない。
とにかく、山形ではというか日本ではみんなで問題解決しようとする気が無くて、いつも誰かにおまかせ。
何度も書くようだけど、鷹山公はもういないのだから産官学市民県民町ぐるみで本気になって、地域を発展させようとしないと、絶対にそうならない。
こんな根の深い問題、このバカブログ1日分ではとても書ききれないけど、米沢に限らず日本の地方都市の抱える問題点は共通していて、それを解決する方法があるのにも関わらず手付かずであるというのが最大の問題だと思う。
だから、地方活性化は、まず市長や知事のリーダーシップが重要。それと国の支援。
「米沢の奇跡」も安部市長や齋藤知事が本気になれば実現可能だと思う。
最後に、素晴らしい連載をありがとう、朝日の杉本崇記者。
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