プラスチックエレクトロニクス会議2日目
きのうは、ブログをアップしたあと、ビアフェストへ。
たまたま、住友化学のOさん、Kさん、それに日立製作所のAさんが会場におられたので、いっしょにテーブルを囲んだ。
まず、住友化学が買収したケンブリッジディスプレイテクノロジー(CDT)社の話で盛り上がった。340億円も使って、潰れかけのベンチャーを買収する心は何なのか。
Oさんにもわからないようだ。
ただ一つ言えることは、もし、他社がCDTを買収したら、住友化学のポリマー有機EL事業の大きな支障となるので、買収するしかチョイスがなかった、ということ。
それと、住友化学自体は業績が好調なので、儲けを税金で取られるぐらいなら、CDTの買収に使っちまえ、的な発想があったのかも知れない。
この買収の結果、間違いなく言えるのは、今後、住化は毎年最低30億円はポリマーELのR&Dに費やさないといけなくなったということ。
だから、実用化まで10年かかるとすると、今後300億円以上の支出だな。
これだけあれば、低分子有機ELの工場がいくつか建つのになあ。
もったいない。
日立製作所と言えば、もちろん子会社の日立ディスプレイズでの有機ELビジネスだ。最近は、展示会でなにも公開せず、なんのニュースもない。
Aさんは有機トランジスタの担当で、直接有機ELには関係ないので、詳細はご存知ないのだけど、最近ちょっとおかしいよな。
たぶん、日立としてのベストソルーションは、この際、ディスプレイビジネスからキッパリと手を引き、液晶子会社のIPSアルファ社(日立、東芝、松下の合弁)は、松下に売却することだと思う。
なぜなら、松下電器産業では、事業面ではプラズマに注力しているけれども、その次として有機ELディスプレイの研究を水面下で着々と進めている。しかし、TFT基板を自社で製造していないので、このままでは他社から調達しないといけない。
薄型テレビから手を引いた方が良い日立、これから有機ELに投資しなければならない松下。だから、この際、松下がIPSアルファ社を100%子会社にすれば、すべてが丸く収まる。
いずれにしろ、日立は液晶やプラズマを含め薄型テレビ事業を今後どう展開するのか、決断する時が刻々と近づいている。
(写真)ブッフェスタイルのビアフェスト。こんな料理です。
(写真)となりの日立のAさんのお皿をパチリ。「心の欲望」に支配され切っているようで、阿蘇山大噴火的な量である。どおりで、ポッチャリしておられるのだ。納得、納得。
(写真)いかにもドイツ的なバンド。日本人にとっては騒音以外の何ものでもなかった。ゲルマン民族は違うで。
会議2日目は、昨日につづき、有機EL関連の発表を聞いた。
気になったのは、装置メーカーであるアプライドマテリアルズ社の発表。
ここは、有機ELを製造するために一番重要な真空蒸着機を開発している。すでに、基板サイズが30cm程度の小型の装置はドイツのフラウンフォーファー研究所に設置されているのだけど、基板サイズが1m角を超える大型機もすでに開発に取り掛かっている。
これには、あのドイツの160億円プロジェクトの予算を使っているのだけど、この最新鋭の量産機をなんと2009年には市場に投入する計画だ。
日本では、三菱重工と有機エレクトロニクス研究所が共同で、量産装置をNEDOの予算で開発しているけど、いかんせん予算が少なくて1m角量産機の開発の目処は立っていない。
だから、ドイツで2009年に1m角を予定どおり売り出すとすると、日本は負けだ。
有機EL産業のキモである製造装置を外国企業に牛耳られることになる。
それに、こんな装置を使われたんじゃあ、パネルメーカーもコストでは太刀打ちできない。装置も、パネルも外国勢に市場を持っていかれるな。
さらに悪いことには、ドイツ勢はさらに二つのプロジェクトを開始すべく政府に提案している。
行けるとなると、選択と集中して予算を付ける外国は、こういう面ですごく強いと思う。ばらまき予算の日本のプロジェクトとは大違いだ。
有機ELの技術開発という研究者としての立場だけを考えると、日本を捨ててドイツに移住し、こっちで研究した方がよっぽど楽しそうだ。
うらやましい。
夜は、ドイツのB社の人達と情報交換しながらの食事。ホテル内のドイツレストランでのお肉料理とワインを楽しんだ。
ふつうは、ドイツといえば白が有名だけど、珍しい赤があると言うことで、赤を勧めてくれた。アフターテイストがスッキリしていておいしかった。
日本の今後が心配だけど、ワインのおかげで今夜も心地よく眠れそうだ。
(写真)豚です。見た目ほどコッテリしてなくておいしかった。
(写真)気心知れた人達なので写真を撮らしてもらいました。
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