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2007年9月 4日 (火)

高分子有機ELのゆくえ

きょうは2組の来客あり。

午前中は、ドイツの会社。
M社は、ドイツで最も本気で、しかもしっかりと地に足を着けて有機EL分野で事業展開してる会社の一つ。
最近は、ドイツの国の支援も得て(例の160億プロジェクトね)、さらに研究開発を加速中。
実力では、すでに国内企業に追いつき、これから引き離しにかかろうとしている。

みんなで、「オルガン」で米牛ランチ。

午後は、T社。
鹿野一郎准教授にも打ち合せに加わってもらう。
鹿野さんは、うちが近所(隣の隣)で、家族ぐるみのおつきあい。
「イチローさんとキョウコさん」、と言えば、近所でも有名なオシドリ夫婦。

夕食は、ドイツ人のお客さんと「玉寿司」へ。
米沢で寿司と言えばここです。
肉続きの生活なので、身体の中の臓器、細胞の一つ一つまで洗浄された気がした。
けど、「調子に乗って、ちょっと食べ過ぎ」、と家内にたしなめられる。

午前中の話題の一つが、高分子有機ELのゆくえ。

8月1日の日経産業新聞に「住友化学有機ELの米社買収」の記事が掲載された。(古いニュースでゴメン)
より具体的には、住友化学が米ナスダック上場の「ケンブリッジ・ディスプレイ・テクノロジー(CDT)」を340億円で買収し、完全子会社にした。ケンブリッジ大学の教授らが十数年前に立ち上げた高分子有機ELのベンチャーである。高分子の中でもパイ共役高分子を用いた有機EL素子の基本特許を有するが、2006年12月期の売上高が、たったの9億6000万円しかない。
ここのところ、赤字がつづき、そろそろヤバイと言う噂がここ数年絶えなかったので、とうとう住友化学が救いの手を差し伸べたのであろう。

これで、基本特許も手にし、材料開発も進めているので、あとはパネルの量産だけである。

しかし、パイ共役高分子有機ELパネルの事業を進めていた、オランダのフィリップスはすでに事業を売却したし、ドイツのオスラムもつい最近、事業を断念。両社とも今は照明用の低分子系有機ELパネルの開発に注力している。しかも、例のドイツの160億円プロジェクトで。

材料メーカーでもパイ共役高分子材料で先行していた米国のダウ・ケミカルは、特許およびノウハウを住友化学に売却し、撤退したし、同じくドイツのコビオンは、メルクに買収され、メルクでは低分子に力を入れ始めている。

すなわち、パイ共役高分子材料を製造販売する会社、パイ共役高分子有機ELパネルを製造する会社が、大げさな話、住友化学以外なくなったのである。住友化学が基本特許まで抑えたため、他の材料メーカーはパイ共役高分子の開発を中止することも考えられ、住友化学がたった一社で材料の事業化を進めることになる可能性も高い。

薄型テレビの業界で、パナソニック一社がプラズマで液晶勢に対抗するようなものである。

その結果、低分子有機ELに対して、パイ共役高分子系では材料開発も遅れ、パネルの量産も遅れ、結局は低分子有機ELや他のリン光高分子系などに差を広げられる結果になるだろう。
というか、なる。

住友化学の経営者は、売上高9億そこそこの会社に340億もつっこんで、果たして回収できると思われてるのだろうか。それに、1億もあれば、有力な国内の大学(たとえば、うちネ)とがっぷり四つに組んで開発を加速できると言うのにネ。(というか、340億あれば、山形大を買収できるで。)

企業経営と言うのは奥が深そうである。

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